Wine Column ♯2 ワラムンダ・エステート、オリヴィア・ザック-マグジアルツ氏へインタビュー時の試飲ワイン
【インタビュー時の試飲ワイン】
Warramunda Syrah 2020
ブルーベリーやブラックベリーの果実味主体でほのかにフローラルとスパイス、オーストラリアのシラ
ーズとは明らかに別物で、シームレスでエレガント。横に広がる柔らかなフェノールと酸。全房発酵
20%、新樽は14%、アルコール14%。
Warramunda Cabernet Sauvignon 2016
縁まで濃く、よく熟したブラックカラントやプラムジャム、セミドライフラワー、ダークチョコレート
のニュアンスとクローブと黒コショウ。こちらもタンニンは滑らかでシームレス。ざらつきはない。
アルコール度数13.5%とこの時代の濃いワインとしては喜ばしい。
Warramunda Pinot Noir 2020
淡くも鮮やかなルビー色で、ラズベリー、ストロベリー。ストロベリーは少し甘みを感じるセミドライ
。スミレのニュアンスとうっすらと紅茶。ブルゴーニュのようなエレガントさで、酸が全体の骨格を広
げる。アルコール12.5%。
Warramunda Marsanne 2018
ミネラルをしっかり感じ、グレープフルーツほど苦くなく、スウィーティーほど甘くない。スイカズラ
などの華やかさ、ナッツやイースト、フィニッシュにはふくよかさも感じる。アルコール12%。
LivZak Chardonnay 2019
リッチなシャルドネ。ネクタリンなどストーンフルーツ、スイカズラより大ぶりの華やかさと、カシュ
ーやヘーゼルなど油分を感じるナッツ、ブリオッシュ、クリーミーなテクスチャーで酸が焦点を絞って
いる。火を通した魚介類が食べたくなる。
アルコール13.35%。
LivZak Rose 2019
カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フラン。10か月のシュール・リーでドライハーブなどの複雑さ
もあるが、簡明直截な酸と果実味を楽しみたい。ワラムンダ・エステートのアイテムの中では安めの価
格設定。アルコール13%。
LivZak Sparkling Rose 2020
カベルネ・フラン。フレッシュ感を楽しめる瓶内2次発酵。フレッシュなイチゴやチェリーの果実味と酸のバランスはよく、泡も長めに続く。19か月澱とともに熟成され、少量のドサージュ。アルコール
13%。
LivZak Pinot Noir 2019
ワラムンダに比べて濃い目に抽出されている印象。より果実味を楽しむワインでイチゴやラズベリーに
チェリーも加わる。しなやかだがしっかりタンニンは感じ、輪郭がしっかりしている。アルコール
12%。一貫してエレガントなスタイルで、酸素との接触も絶妙な加減で還元的過ぎない。温暖化というパワ
ーワードがよく使われる近年において、比較的アルコール度数も抑えられていることもエレガントなス
タイルの要素の一つ。果実味は全体を通してフレッシュ。
Columnist
木下 隆一
前回のオーストラリアワイン産業のコラムの流れから、今回は株式会社アスウィンの主力ブランドで
ある、ワラムンダ・エステートについて寄稿させていただきました。
当主のご長女、オリヴィア氏へのインタビュー時間を設けさせていただきましたが、対処療法的な様々
な醸造のノウハウをヒアリングしきるには何倍もの時間が必要でした。2013年からの蓄積データしかな
い中で毎年一貫したスタイルを構築することは、かなりのセンスが求められることだと思います。
私の周りにもあからさまなブルゴーニュラヴァーが多いですが、このワラムンダ・エステートのエレガ
ンスは受け入れて頂けることばかりです。まだ飲んでいない方には一度おすすめ致します。
Bar 九
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